ここ数年で少しずつ増えてきた感のあるデザイン制作の定額サービス。ざっと検索すると、少なく見積もっても国内に50社以上は存在します。そう、意外と多いのです。
デザインの依頼をする際、デザイン会社や印刷会社への発注、あるいはクラウドソーシングでフリーランスデザイナーにスポットで外注するケースが主流でしょう。定額のデザインサービスが台頭してきたとはいえ、その主流部分に大きな変化はないと思います。ただし、予算や今後の広告展開等によっては、月額定額でデザインを発注したほうがよいケースはたくさんあります。
定額制デザイン制作サービスの利用を検討する際のヒントとして、当コラムではそのメリットとデメリットについて説明しています。自社のプラスになると感じたら本格検討してみてはいかがでしょうか。
定額制デザインサービスってどんなもの?
なんとなくイメージできてもハッキリよくわからない。定額でデザインを発注するという手段がまだ市民権を得ていないのですから、使ってみないとよくわからないことは多いと思います。
必要なポイントを要点ごとに説明します。
チラシなど印刷物のデザインや画像、ウェブデザインを扱う業者が多数
「デザイン」という用語の使い方は幅が広く、その種類を挙げればきりがありません。定額制デザイン制作サービスの「デザイン」は、その中でも企業の販促に関連するようなデザインだと考えてください。
デジタルメディアであればLPをはじめとするウェブサイトやSNS、アナログ媒体であればチラシ、ポスターやDMなどの紙媒体、画像加工等も含まれます。動画編集まで行ったり、パワーポイントでの資料作成が含まれるサービスもあります。
そういったデザインを複数ジャンルでまとめて扱うところが定額制デザインサービスの大きな特徴です。「チラシ作ります」「LP作ります」といった単体でのサービス提供ではなく、デザイン制作のデパートのようなイメージです。
料金相場は存在するが、安いものから高いものまで幅広い
多くのサービスは「松・竹・梅」の料金設定がされています。扱えるデザインジャンルで料金を分けているケースもありますし、利用できる時間数(デザイナーの制作時間数)で分けているケースもあります。
この松竹梅でいえば、もっとも安い梅の料金レンジが4~6万円、竹が6~10万円、最高位の松が8~12万円くらいといった印象です。ちなみに助太刀丸(当サービス)は1プランのみの月額18,000円(税別)で、松竹梅ではない点や極端に安い料金設定は、定額のデザイン制作サービスでは特殊な部類に入ります。
料金はサービスを選択する際の決め手となりますが、単純に料金プランや扱えるジャンルだけで選ぶのではなく、制作事例やユーザー企業の声、全体のシステムが自社にフィットするのかなどをよく確認して検討するとよいでしょう。
1案件ずつの納品が基本
「デザインし放題」「頼み放題」「丸投げ」といったキーワードが並ぶことも定額デザインの特徴ですが、原則すべてのサービスで1案件ずつの制作となっています。A・B・Cというデザイン案件があったとして、これらのデザインを同時に進行するのではなく、Aを納品したらBに取り掛かり、Bを納品したらCがスタートするという意味です。
デザイン定額サービスは言い換えれば「デザイナーのシェアリングサービス」でもありますので、一人のデザイナーは1ユーザー企業の案件だけではなく他にも多くの顧客を抱えることになります。全体を回しながら制作を進めますから、そもそも一気に複数案件を進めること自体が物理的に難しいという理由があります。なるべく余裕をもって発注することが原則です。
月額料金以外で、初期費用などスタートする際のハードルは?
初期費用
数万円が必要なケースと、助太刀丸 (当サービス) のように設定していないケースがあります。定額でデザインを請け負う場合、案件ごとのディレクションは行わず制作に特化することが一般的です。そのため開始当初は準備を含めそれなりの労力が必要ですので、初期費用はそこに該当する費用という考え方です。
実際には、初期費用を必要としないケースのほうが多いと思って差し支えありません。
事前払いが多い
事前払いと月末締め請求がよくあるパターンですが、事前払いのほうが多い傾向です。割安な月額料金のみで、スポットならその何倍もかかる料金分の制作をデザイナーの手で行いますので、そのぶんのリスクヘッジだと考えればご理解いただけるかと思います。
半年分や1年分を支払う必要があることも
事前払いのケースで一点だけ注意が必要なのは、サービスプランによっては半年分や1年分の料金を前払いする必要が出てくることです。契約期間が長いぶん月額料金が割安になるという仕組みです。このようなプランは結果的に安上がりになるメリットがあるものの、手元資金の問題や途中解約での払い戻しができなくなるといった部分がハードルとなるので、さまざまなサービスを比較し手元資金や先の予定と相談しながら選定するようにしましょう。
また、月額料金が表示されていても、そもそも半年や1年の契約プランのみの場合もあります。そうなると数十万円を先払いする必要が出てきますので、規約やQ&Aを先に読んで理解しておくようにしてください。
納期の考え方はサービスによってまちまち
基本的にはサービスサイトのどこかに標準となる納期の記載があるはずです。前述したように「デザイナーシェア」の要素がありますから、記載の納期目安より早く納品されることはないと考えたほうがよいでしょう。
ですので、「来週までに広告用バナーを10枚用意したい」といったように、短納期で一気に複数のデザインがほしいというリクエストには向きません。時期によってはそれを聞いてくれるサービスもあるかもしれませんが、それはサービス提供側が自ら首を絞めることになります。定額サービスの仕組みが成り立たなくなるので、ユーザー企業の皆さんにはぜひご理解いただきたいところです。
そういった場合は定額サービスを使うのではなく、期日までに納品できることを確認してスポットの依頼として発注しましょう。※ルールとして追加料金で対応してくれるサービスもあります。
定額のデザインサービスを導入するメリット
細かいルールは各サービス異なりますが、ここまでで定額制デザイン制作サービスのベースとなる考え方やルールはおおよそ理解できたと思います。利用することでのメリットもたくさんあるので、自社の今後のニーズと照らし合わせてみてください。
割安で収まりやすく、外注費を気にしなくてよい
当然ですが、定額ですのでそれ以上の経費を気にする必要はありません。スポット依頼だと発注すればするほど費用は積み上がっていきますが、定額サービスだと逆に割安になっていきます。5万円のサービスならチラシを1枚作れば1枚あたり5万円、2枚なら2.5万円です。定額の面白いところですね。相場を考えれば、1枚だったとしてもトントンでしょう。
ちなみに、助太刀丸(当サービス)なら1枚で18,000円、2枚なら1枚あたり9,000円、同じく3枚なら6,000円です。だいぶ割安になることがわかると思います。
デザイン制作会社による運営が基本なので安心
今のところ、畑違いの会社がサービス運営しているケースは見たことがありません。もともとデザイン会社としての業を営んでいる会社が、新しいサービスとしてサブスクを取り入れたというパターンがほぼ100%でしょう。つまり、デザインのクオリティに関してはおおよそ安心できると言えます。
サービスサイト内のどこかで実績や事例が紹介されていると思いますので、まず安心かと思いますが実際にご自身の目で確認しておくようにしましょう。
選択できるデザインのジャンルが豊富
冒頭でデザイン定額サービスの説明でも触れたように、印刷物のデザインはネット印刷に発注できるようなジャンルならほぼ対応可能。他には画像加工やウェブデザイン、場合によってはコーディングや動画編集、パワポ資料の作成まで対応している場合があります。これもサービスによって異なりますので、サービスサイトで事前にチェックしてください。
「契約期間中に、自社にこんな需要があるだろうな」と制作ジャンルについてあらかじめ目星をつけておき、そのデザインジャンルに対応しているサービスの中で比較してみることです。ウェブデザインは特に必要ないとなれば、ウェブ非対応で料金が安いほうを選択するといった具合です。
固定された料金内であれもこれも可能だというところが、定額サービスを使ういちばんの醍醐味といえるでしょう。
定期的な販促ニーズにフィットしやすい
用途は販促ツールに限ったことではありませんが、定期的に販促が必要な業態にはピッタリなサービスだといえます。例えば飲食店であれば、
- 月ごとに目玉メニューのチラシやPOPを作りたい。
- メニューは四半期に一度変更したい。
- レジで翌月のフェア案内をしたい。
- 撮った写真を美味しそうに加工したい。
- SNSには写真だけでなくたまにデザインされたPR画像を掲載したい。
- 店頭のデジタルサイネージは常に最新の状態にしたい。
ここまで販促に力を入れるなら定額サービス一点です。
店舗業態でなくとも、例えばBtoBなら営業があらゆる提案をしやすいよう商材やパターンごとの紹介チラシやパンフを作ってもいいですね。通販なら梱包時にその時のイチオシ商材の案内を入れてもいいですし、新規取引先開拓に定期的にDMをデザインしてもよいでしょう。
デザイナー固定が多いので長く使うとより馴染む
サービスを導入すると、一人のデザイナーが担当固定で対応するケースが多いと思います。最初は単なる外注先のデザイナーですが、やり取りを続けるうちに信頼関係が築かれていきます。もちろんお互いにルールとマナーを守りつつですが、社内のデザイナーのような感覚で発注していることにそのうち気づくはずです。
デザイナー側にもメリットがあり、お付き合いが続けば続くほど発注元企業への理解が進んでいきます。特別な指示がなくてもテイストに合わせたデザインに仕上がったり、ブランドを考えた制作ができるようになるので、双方にとってプラスにしかなりません。
ただし、サービス提供者が社内完結していることが前提です。後述しますが外部のデザイナーに再委託しているケースもありますので、そうなると確実に同じデザイナーがアサインされるとは限りません。
新しいことに取り組みやすい
これまでは予算の関係で1しかできなかった施策が10できるようになる。そんなことができるのも定額サービスならではのメリットです。
「定期的な販促ニーズにフィットしやすい」の項目で例示した飲食店のケースであれば、「メニュー表は3ヶ月に1回、チラシも3ヶ月に1回は外注できていたけど、同じ予算で販促チラシもフェア案内も毎月作れるしサイネージも魅力的にリニューアルできる!」といったイメージです。
「せっかく定額で使っているのだから新しいアイデアを出してみよう」と考えるのもまた楽しいはずです。ABテストもできます。予算はこれまでと変わらず新しい施策にチャレンジできるなら、費用対効果で考えても確実にプラスになるでしょう。
定額のデザインサービスを導入するデメリット(リスク)
デメリットというよりもリスクですね。デザイン定額サービスの仕組みに大きなデメリットというものはなくユーザー企業にとってプラスになる構造ですので、「リスク」として自社の環境がこれらに当てはまるものであるかを確認するようにしてください。
定期的な依頼が見込めないと導入しづらい
「うちは半年に1点チラシを作ればよい」という企業が定額制デザインサービスを導入するメリットはまったくありません。2~3ヶ月に1回のチラシ作成なら、助太刀丸くらいの低価格であればアリでしょう。料金体系から算数のレベルで損得の判断がつくと思います。
このような場合はスポットのチラシ発注で十分です。あるいは定額で使うメリットを活かして、別の施策や使いみちをいくつか考えてメリットを享受するようにしてください。
契約期間の縛りがある場合がある
縛り(最低利用期間)については3ヶ月、6ヶ月といったパターンが多く見受けられます。おためし的な利用で1ヶ月というものも存在します。
仮にそのサービスに6ヶ月の縛りがあった場合に、途中で必要なくなっても抜けることはできません(残り相当の料金は戻ってきません)のでご注意ください。この縛り期間についても各サービスサイトで事前にチェックしておきましょう。
また、提供側の都合でデザイン定額サービスを終了することもあります。そういったケースに数度遭遇したことがあります。場合によっては廃業なんてことも。それを考えると、6ヶ月や1年の縛りはそれなりに大きなリスクになるでしょう。
ずるずると時間が経過してしまう可能性がある
デザイナーからの内容ヒアリングや問いかけにすぐに対応できなかったり、素材や原稿を用意するのが遅くなったりすると、定額の価値がどんどん下がってしまいます。定額の恩恵を100%享受できず、もったいないということです。
ポイントは、兼任でもいいので常時対応できる担当者を置けるかどうかです。普段から多数の仕事を抱え余力のない従業員が担当することは、できることなら避けていただくほうがよいと思います。少なくとも、スマホで構わないので、なるべく早くレスポンスできる環境を整えておくことが重要です。
また、定額で頼み放題ですから理論上は何度でも修正が可能なのですが、修正のやり取りが増えると時間もどんどん経過してしまいます。デザイナーは即座に修正対応できるわけではありませんので、修正指示もなるべくまとめて出すことがポイントです。
再外注している場合がある
サービス提供側が自社でデザイナーを抱えず、雇用関係のないフリーランスデザイナーに再委託しているケースもあります。これがユーザー企業にとってデメリットやリスクになる理由を2つ挙げると、
- デザインの品質にムラが出る場合がある。あるいは外部スタッフのためその部分の教育やコントロールができない。
- 秘密保持ができない。公開前情報を扱ったりする可能性もゼロではないし、そもそも全ての情報は秘密である前提で動くべき。
といったところです。
サービスサイトに自社雇用のデザイナーであることが明記されていれば安心ですが、書かれていない場合は問い合わせてみましょう。
<番外編>使い方によっては損した気分に陥りやすい
番外編としているのは、損をするわけではないし錯覚に近いからという理由です。
例えば、助太刀丸(18,000円/月)を1ヶ月使うなかで①チラシ1枚作るケースと②チラシ2枚作るケースを考えてみましょう。1枚だけ発注して終わるのは、2枚発注することに比べ損をしていると感じるでしょうか。単純な1枚あたりのわり算だと、①は18,000円、②は9,000円です。数字だけ見れば損をしているように感じてしまいがちです。
しかし、そもそも18,000円が高いか安いかで考えれば、安いと答えるほうが圧倒的に多いと思います。料金は違えど、チラシ1枚のデザインで4万円~8万円が相場であるとすれば他社サービスも同様に安いといえます。①は1枚でも十分に安い料金なので、定額サービスの料金はあくまで固定費として考えていただくほうがスマートです。
助太刀丸でいえば2ヶ月に1回だとしても36,000円で割安ですから、「少ない発注量=損している」と結び付けずに「増やせば得をする」と考えたほうが幸せかもしれません。もちろん「得をする」の境界線は各サービスの料金体系により変わってきます。
こう考えると、ひっきりなしにデザインを発注することがなくても導入を検討しやすくなると思います。
月額制のデザイン定額サービスを導入する際のチェックポイント
ここまでの流れから、導入を検討する際のチェック項目をまとめます。
- 単発発注ではなく定期的なニーズが見込めそうか。
- 現時点で定期的なニーズがなくても、定額利用によって新しいニーズが発生するか。
- なるべく納期に余裕をもった発注が可能か。
- 兼任でもいいのでなるべく早く対応できる担当者を配置できるか。
- 1案件ずつの進行で問題ないか。
- ほか、前述の「リスク」部分をクリアできそうか。
これらのチェックポイントを社内事情に照らして問題ないと判断できれば、あとは具体的にどの定額サービスを使うか検討します。
デザインのジャンルを満たすサービスを探し、少なくとも3つほどは比較検討してみることをおすすめします。サービスによって特徴もまちまちですし、なんとなくの相性も大事かもしれません。
動画やウェブ制作が必要なければ、導入しやすく高コスパな助太刀丸
最終的には、希望するデザインのジャンルに対応している定額サービスの中から選択して利用することになります。もしウェブ案件(LP制作やコーディング)や動画編集といったニーズがないようなら、「月極デザイン 助太刀丸」の利用をご検討ください。
月額18,000円(税込19,800円)で以下のようなジャンルに対応可能です。
アナログ媒体:
チラシ・フライヤー、ポスター、DM、パンフレット・リーフレット、POP、メニュー、カタログ、会社案内、名刺、社封筒、ハガキ・年賀状、ノベルティ、横断幕など、ネット印刷で発注できるようなツールはほぼ対応可能
デジタル媒体:
ウェブバナー、ホームページやLPに挿入する画像、デジタルサイネージ画像、SNS用画像、YouTubeサムネイル画像、画像加工(切り抜きや合成、レタッチ)など
発端は、コロナで苦境に陥った飲食店を支援したいというものでした。助太刀丸のデザイン活用により、1日1個お弁当を多く売れば元が取れる料金にしたいと考えたことが、低料金を実現する大きな原動力となっています。
結果的には個人店から一部上場企業まで、多規模多業態でご利用いただいているサービスです。
安かろう悪かろうではなく、自社雇用のデザイナーとディレクターがチャットグループに入り、ユーザー企業に合わせた高品質なデザインを提供しています。
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