飲食店の開業準備の流れは?オープンに必要な資格や届出申請、補助金についても解説

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飲食店を開業するにはさまざまな申請や資格などの準備が必要です。開店準備の流れ、必要な資格や申請などを参考にして開店準備を進めましょう。

本稿では飲食店開業を控えている人向けの情報を紹介します。補助金や助成金についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

当記事の目次

飲食店開業するための準備期間は?

飲食店を開業する期間は最低でも6ヵ月は必要ですが、計画的にしっかり準備するなら12ヵ月は確保しておいた方がよいといえます。飲食店の60%以上は開店してから2年以内に閉店しているというのが現実です。閉店している飲食店の多くに共通しているのが「しっかりと準備をせずに開業をした」という点です。

短期間で閉店にならないようにするためには計画的な開業準備が重要ですので、今回紹介する内容を参考にしてください。

飲食店開業準備の流れ

飲食店開業準備の流れについて紹介します。開業のどれくらい前にする工程なのかも解説しますので参考にしてください。

1. コンセプト設計

コンセプト設計は、どのような飲食店にしていくのかを計画する工程です。その際に7W2Hをもとに考えると、計画的な開店準備の段取りを組むことができます。

7W2Hとはすなわち、「When:いつ」「Where:どこで」「Who:だれに」「whom:だれと」「What:何を」「which:どれの」「Why:なぜ」「How:どのように」「How match:いくら」です。

自分の理想とする飲食店をイメージして、それぞれの項目を埋めていきましょう。

When:いつ開店する日時から逆算してスケジュールを立てる
Where:どこで立地、店舗規模などを決める
Who:だれに年齢、性別、商圏などのターゲット層を決める
whom:だれとどんなメンバーと
What:何をメニューコンセプトを決める
which:どれの目玉商品となるメニュー
Why:なぜ自分が飲食店を開店する目的を決める
How:どのようにどのように認知度を向上するか
How match:いくら開店における時間とお金

上記の表を参考にしてコンセプト設計して、開店準備を進めましょう。この工程に期限はありませんが、開店予定の1年ほど前には終えておくことをおすすめします。

2. 物件探し・契約

コンセプトに合わせた物件を選ぶ工程です。相場から大きくずれている場合は妥協点を探す必要がありますが、物件選びは根気よく行いイメージ通りの店舗を探しましょう。今後の営業に大きな影響があることなので、ライバル店の有無など土地近辺の状況もチェックして、可能な限り時間をかけて選びましょう。

不動産会社との交渉、契約にも時間がかかるので遅くても開業予定の6ヶ月には物件を決めましょう。居抜き物件か新規物件にするのかで、工事期間も変動しますので注意が必要です。予算と時間に余裕があるなら自由な設計ができる新規物件がよいでしょう。

3. 資金調達

自己資金だけでは開店資金が足りない場合は、金融機関や自治体からの融資を受ける必要があります。他には政府系金融機関の日本政策金融公庫などからも、開店準備金の融資を受けることが可能です。一般的に廃業率の高いとされている飲食店は民間の銀行からの融資は厳しく審査があり、政府系金融機関は比較的借入がしやすくて金利も安いという特徴があります。

借入に合わせて後ほど紹介する助成金や補助金を利用すれば、開店資金を効率よく調達することが可能です。借入には審査があるので営業計画書など必要書類を調べて準備しておきましょう。物件の決定後、速やかに資金調達が必要になります。

4. 店舗内外装設計・施工

施工の規模にもよりますが、3ヵ月前には工事が始まっている状態にしておきましょう。物件を契約した後は店舗の設計、プランニングをします。デザインと設計、内装の依頼は同じ業者にすると統一感が出て、施工完了までもスムーズに作業が進みます。また、業者との打ち合わせではデザインの希望はもちろん、コンセプトやターゲット層、予算も伝えることが大切です。

施工のプランニングの後は1〜2週間後に見積もりを出してもらいます。あらかじめ設備や内装などが残っている居抜き物件の場合は、比較的低コストで工事をすることが可能です。一般的に「スケルトン物件」と呼ばれる設備や内装のない状態の物件は、坪単価の基本工事価格にオプション料金や電気など設備費用が加わります。実際に着工してからは任せっきりにせずに、現場に足を運んで状況を把握し問題点があれば相談するようにしましょう。

5. 厨房機器、什器等の調達

飲食店を営業するには食品関係営業許可の基準をクリアした機器や什器が必要です。調理場に最低限必要な物は以下の通りです。

必要な設備詳細
作業場汚染を防止するため区画された施設
壁・天井平らで掃除しやすい材質であること
清掃しやすい構造であること
照明作業場は100ルクス以上の明るさ
冷蔵庫温度計の設置が必要
食器戸棚戸が付いている食器棚
流し2槽以上必要(食洗機含む)
手洗い設備36cm×28cm以上
換気扇防虫・防塵ができるシャッター付き
網戸が必要
給湯設備調理場内にお湯が出る設備
トイレ調理場に連絡しないトイレ

その他にも電化製品や調理器具などさまざまな器具が必要なのでリスト化しておくようにしましょう。開店後の繁忙でなくならないように、消耗品や保存できるものは多めにストックできる収納場所を確保することも大切です。全てを調達するには費用がかりますが、食洗機などの大きなものを中古品で用意すればコストを抑えられます。

6. メニューの策定

店舗工事で手が空いている間に、メニュー内容を決定します。どのようなメニューにするのかは事前に決めておいたコンセプトなどをもとに、自店の特徴が伝わるメニューにしましょう。メニューの内容やメニューブックのデザイン、価格を決めた後は食材の仕入れ先を決定します。

仕入れ先は提供する商品の品質を上げることに直接つながることなので、妥協せずに良い仕入れ先を探しましょう。知り合いの紹介などがなければいくつかの業者を比較検討して、卸値や取扱商品などを考慮して決定します。長い付き合いになるので、納得できる業者を探すことが大切です。

7. 人材採用・教育

オープン予定日1ヶ月前までには人材の確保をしましょう。ぎりぎりすぎると教育の時間もなく、スタッフのストレスにも繋がります。逆に早すぎると働くまでの期間が長いので、辞退者が出るかもしれません。イメージに沿った人員を集めて、マニュアルがあった方が統一感のある店舗になります。

8. オープン準備

オープンまでには資格取得や届出申請など、確認が必要なものが多いので漏れのないように注意が必要です。また、オープン前日までSNSなどで告知をして、販促活動を続けることで初動の集客ができます。

スタッフの教育も含めて、レジシステムや備品の状態など全ての状態を最終チェックしましょう。実際にオープンしてみるとイレギュラーが発生することは珍しくないので、慌てずに対応することが大切です。

飲食店開業前に必要な2つの資格

飲食店の開業で必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つです。それぞれの資格について詳しく解説します。

食品衛生責任者

食品衛生責任者とは製造、加工、調理、販売などが衛生的にできるように、管理と教育をする責任者です。食品衛生責任者は17歳以上であれば、誰でも講習を受講することで取れます。

講習は各都道府県衛生食品協会が行なっているので、最寄りの会場を探してみましょう。基本的に月に複数回開催していて、受講料は都道府県によって違いますが1万円程度です。

防火管理者

店舗の収容人員が30名以上の場合に必要な資格で、こちらの資格も講習を受講すれば資格が取れます。講習は「日本防火・防災協会」が実施していて、各地域の消防署で受けることが可能です。防火管理者の資格には甲種と乙種があり、300平米以上の場合は甲種が必要になります。

規模によって必要な資格に違いがあるので、自分の店の規模を考慮して受講する講習を決めましょう。受講料は5,000円程度で、甲種を受ける場合は2日間、乙種の場合は1日間のスケジュールです。

飲食店開業前に必要な届出申請

飲食店の開業前に必要な届出申請を紹介します。以下に表としてまとめますので参考にしてください。

届け先対象店舗届出書類
保健所全店舗食品営業許可
消防署①収容人数30名以上
②全店舗対象
③全店舗対象
①防火管理者選任届
②防火対象設備使用開始届
③火を使用する設備等の設置届け
警察署①午前0時以降に酒類を提供する場合
②風俗営業のルールに基づく
①深夜における酒類提供飲食営業開始届出書
②風俗営業許可
税務署全店舗個人事業の開廃業等届出書
労働基準監督署従業員を雇う場合労災保険の加入手続き
公共職業安定所従業員を雇う場合雇用保険の加入手続き
社会保険事務所法人は必須、個人は任意社会保険の加入手続き

それぞれに申請期日がありますので、オープン前からチェックしておきましょう。また、風俗営業に関するルールは細かく決まっています。例えば「照明の明るさが10ルクス以下であれば申請が必要」など思いがけないところで、許可申請が必要なので注意しましょう。

飲食店開業時に利用できる補助金・助成金

飲食開業時に利用できる補助金や助成金について解説します。ここで紹介するのは「地域創造的起業補助金」と「小規模事業者持続化補助金」の2つです。

地域創造的起業補助金(旧:創業補助金)

地域創造的起業補助金とは経済を活性化させることを目的とした補助金で、2018年よりスタートしました。外部資金調達がない場合は50万〜100万円、外部資金調達がある場合は50万円〜200万円の補助が受けられます。

その年によって申請する時期は違いますがだいたい4月〜5月にかけて募集があり、従業員を雇っている店舗であれば申請することが可能です。2022年4月現在は募集の情報はありません。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金小規模事業者が地域と一緒になって、売上を上げて行くための補助金です。最大50万円の補助金が受けることができて、小売業やサービス業などの小規模事業者が対象になります。

業種ごとに従業員の数などで小規模として扱われるかが決まりますので、申請する際は概要をチェックしましょう。申請に伴い事業計画書の作成や所定の期限までの実績報告書などを準備する必要があります。

飲食店開業直前はチェックリストの活用がおすすめ

飲食店を開業する前の全体チェックにはチェックリストを活用して、準備に抜けがないかを確認しましょう。各種届出や手続き、設備など準備する内容が多いので、箇条書きで作成するのがおすすめです。

【まとめ】飲食店の開業時はチェックリストを作成し、流れに沿って進めよう

飲食店を開業する時にはまずコンセプトを決定し、コンセプトに基づいて物件、内装、メニューを決めていきます。設備などの調達も忘れずに行い、オープンの1ヵ月ほど前には従業員を雇い始めましょう。食品衛生責任者と防火管理者の資格をあらかじめ取っておいて、必要な届出や補助金・助成金はチェックリストを活用して申請すると漏れがなくなります。

開業にはチラシ配布などの販促、店内POPやメニューなど単価アップを図れるツール、屋外設置のデジタルサイネージやポスターも必要になってきます。

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